ただひたすら「思い」を聞いて上げよう

rirityan2006-04-06

ペットを亡くした悲しみから抜け出せない、涙が止まらない。こうした心の状態を「ペットロス」と言います。一般にペットロスは心の病、と言う認識が強いようですが、そうではありません。ペットロスとは何かについて専門家の声を聞くと共に、悲しみを乗り越えるための取り組みを紹介します。

きちんと悲しむこと。

「ペットロスは病気ではありません。むしろ、人間の自然な心の動きだと言えます」と語るのは、日本獣医畜産大学助教授の鷲巣月美さん。獣医師としてたくさんのペットとその飼い主に接して来ました。
「人間の場合、忌引と言う言葉があるように、家族を亡くしたことへの社会の理解があります。でもペットの場合は、飼い主に取っては家族同様の存在であるにもかかわらず『ペットを亡くしたくらいで』と周囲の人が悲しみを共有してくれない傾向がまだあります。そのため、いつまでも深い悲しみから抜け出せず、抑うつ状態に陥りやすいのです」と鷲巣さんは指摘します。


「1日中涙が出る、悲しくて仕事が手につかない、と言うのは異常な状態ではありません。ペットは家族なのだから悲しいのは当然だ。ただその悲しみには個人差があると言うだけのことです」鷲巣さんは悲嘆の日々を乗り越え、再び前向きに生きて行くためには、きちんと悲しむことが大事だと提言します。それにはいくつかのステップがあります。ペットに限らず、人間を亡くした時も人は『否定=ペットが不治の病、或いは死んだ時、信じられない気持ちになり現実を受け入れられない』→『交渉=私の命と引き換えでも良いからこの子を守って下さいと、神様と交渉する』→『怒り=ペットの死や病が治らないことを獣医や自分のせいにして怒り苦しむ』→『受容=ペットがいなくなったことを事実して受け入れ、本当の悲しみが始まる。この時期に「ペットが死んだくらいで」と周囲から言われると非常に傷つく』→『解決=悲しみが薄らぎ、亡くなったペットが思い出に変わって行く。再びペットを飼おうと言う気持ちになる』人はこのような過程を得て、気持ちの整理をして行きます。
最終段階の「解決」に至るまで平均10ヶ月はかかる、と言う説もあります。


「このようなプロセスをきちんと踏んで行くためにも、ペットを亡くした悲しみを周囲の人が理解してあげることが非常に重要です。悲しみはいつか必ず癒されて行くものです。もし友人や知人がペットを亡くして悲しんでいたら、ただ黙ってその人に寄り添い、話を聞いて上げて下さい」気持ちを話せた、分かって貰えたと言う安心感が、前向きな姿勢を取り戻す一歩になるのだ、と言います。
ペットロスについて2〜3回に分けて書いて見たいと思います。